検索キーワード「SIWA 特集 Vol」に一致する投稿を日付順に表示しています。 関連性の高い順 すべての投稿を表示
検索キーワード「SIWA 特集 Vol」に一致する投稿を日付順に表示しています。 関連性の高い順 すべての投稿を表示

2014年9月29日月曜日

SIWA | 紙和 特集 Vol.3 SIWAができるまで

siwa3_1
こんにちは、副店長のミヤハラです。
いよいよ、SIWA特集も最後になりました。

SIWAの製品がどのように作られているのか、実際に工場へ伺い
製作の過程を見学をさせていただきました。

「SIWA」という新しいブランドを育てていくには、
深澤直人さんとブランディングを進めていく事と同時に、製品を量産できる体制も
整えていく必要がありました。

つまり、ブランドの世界観を理解し、品質の高さなども
ともにわかりあえるパートナーを探さなければなりません。
そこでも、また新たな壁にぶち当たったそうです。

一瀬さん:
「紙は、布や革みたいに伸びません。また1度、針を
刺したら穴が開いてしまうので、やり直しもきかない。
技術を要するし、クセがある素材なだけに、量産を
引き受けていただけるところが中々見つかりませんでした。」


様々な工場にコンタクトをとっていく中でようやく、引き受けて下さるところが
見つかりました。ついに、SIWA製品の作られていきます。

siwa3_2
ペンケースの縫製前の断裁パーツ。

siwa3_8
長財布の縫製前の断裁パーツ。

siwa3_3
小物ケースのパーツ(左と中央)と、完成品(右)。

siwa3_9
裁断したパーツに、縫い合わせるときに必要な目印を入れるための板。


職人さん:
「とにかく、ごまかしが利かない素材なだけに
寸分違わぬ裁断と、縫製する技術が求められるんですよ。」


職人さんたちは、実際に作りながらどうすれば、自分たちが
もっと作り易くなるか、もっと効率良く作れるかを常に考えています。
本当に小さな一工夫や、手間隙をかけることで、製品の品質に違いが出てくると言います。
細かいディテールや裁断方法まで、丁寧にご説明いただきました。

次は、実際に製品を縫っているところ見せていただきました。
siwa3_4
今回は、スクエアポーチ Sサイズを実際に縫っていただきます。

siwa3_5
裁断したパーツと、ファスナーを縫い合わせます。

siwa3_6
ファスナーが付いたパーツと、別のパーツを縫い合わせます。

siwa3_7
完成!

一見、簡単に縫っているように見えましたが、カーブしたパーツと、直線をパーツを
くっつけるときは、タックになりやすいので、しっかりと押さえながらミシンを
進めていかなければなりません。
職人さんにしか出来ない熟練の技術が、そこにはありました。

今回、現場を見学させていただいて「SIWA|紙和」の魅力を、改めて感じることができました。

日本の伝統を活かしながら、現代の暮らしに根付くような物作りを追求する一瀬さんたち。
お話を伺う中で、これからもっと新しいことにチャレンジしていきながら
紙製品の素晴らしさを伝えていこうという姿勢が、とても印象的でした。

次は、どんな物できるのか今後も注目です。

みなさまにも今回の特集をお読みいただいて少しでも、SIWAの良さが伝わり
長く愛用していただけたら幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。


■バックナンバー
VOL.1 山梨県市川大門に行ってきました。
VOL.2 プロデューサー 一瀬愛さん インタビュー 。

siwa_brand.jpg
>> SIWAのアイテムについてはこちら


2014年9月15日月曜日

SIWA | 紙和 特集 Vol.2 プロデューサー 一瀬愛さん インタビュー

siwa01.jpg

古くから紙の製造を行っている株式会社大直。
今回は大直が立ち上げたブランド「SIWA」のプロデューサーである
一瀬 愛さんにブランド誕生秘話や、
今後の展望など、色々お話を伺いました。


1974年の設立以来、障子紙の製造・販売をしている大直。
それとは別に、テーブルウェアやステーショナリーなど、
和紙を使って様々なジャンルのアイテムを多数提案してます。
障子紙とは異なるアプローチをしたのには、どのような経緯があったのでしょうか。

一瀬さん:
「昔は住宅の建材(障子)や、筆記紙として多くの方々に使われていた和紙ですが、
 年々ライフスタイルの変化により需要は少なくなってきています。
 私たちの産地では手漉き和紙の職人も減ってしまい、今はこの地区では1人しかいません。

 そこで私たちは伝統に沿うだけでなく、
 これまでの和紙の用途やイメージとは異なる新しい何を提案できないかと考えました。
 
 マンゴーや麻などを使って、表情のある特殊紙を作ったり、
 “めでたや”という和雑貨のお店を立ち上げるなど、
 現代のお客様のニーズに応えられるものを提案しようと考えました。」



“めでたや”は百貨店などでディスプレイの装飾として置かれたり、
一般のご家庭でも正月の置物として使われています。
しかし、一瀬さんの中でもう1つの思いがあったそうです。


一瀬さん:
「“めでたや”の商品はご年配の方に特に需要が高いブランドなのですが、
 私たちの世代(20代〜30代)を含めて幅広い年齢層で使えるものを提案したいと思いました。
 また、めでたやのブランドは日本の歳時記がテーマですから、
 日本の風習を知らない海外への輸出がしにくい点があります。

 
 “年齢も性別も問わず幅広い層で使えるもの”と、
 “海外にも提案できるものを作る”という2つの思いから、
 SIWAのプロジェクトがスタートしました。」



siwa02.jpg
��写真左:WEBスタッフ ホンマ / 写真右:SIWAプロデューサー 一瀬愛さん)

SIWAは、世界的に活躍しているデザイナーで、
山梨県出身の深澤直人さんとの共同開発で誕生しました。
深澤さんに依頼をしたきっかけ、
そして「SIWA」が誕生するまでの話を聞かせていただきました。

一瀬さん:
「めでたやのアイテムは社内のデザイナーを起用しているのですが、
 和テイストが得意な人を採用していることもあり
 新しいものを提案しようとしても、和紙というイメージを超えた
 全く新しいものというのが生まれなかったんです。

 SIWAは"障子が毎日そこにあったように、毎日使える和紙のアイテム"という
 コンセプトで企画をスタートさせたので、
 現代のくらしに沿ったライフスタイル製品、
 海外への輸出も視野に入れていたので、そういった経験のある方、
 和紙の素材を活かしたミニマムなデザインで幅広い年齢層で使えるもの、
 男性女性問わず使えるものが提案できる方・・・など
 色々考えたときに、その条件にマッチしたのが、深澤さんだったんです。」



こうして、大直と深澤直人さんの共同開発プロジェクトがスタート。
SIWAの素材には「ナオロン」という特殊紙が使われていますが、
この素材を使うに至った経緯は何だったのでしょう。


一瀬さん:
「共同開発を進めていく中で、
 深澤さんに色々な紙素材を見ていただいて、、
 何が出来るかを考えていただきました。
 その紙素材の中の1つにナオロンがあったんです。
 
 ナオロンは破れにくい障子紙を作るために開発したもので、とても強度があります。
 ですが、一度シワが付くと取れにくいというデメリットもあったんです。
 深澤さんに提案する中でその点も注意事項として伝えました。

 その1ヵ月後にあった深澤さんからのプレゼンテーションは、
 ナオロンのデメリットである「シワ」を生かした製品が提案されたんです。」


プレゼンテーションでは、和紙を使った生活雑貨のイメージ写真が
1冊の本になって手渡されたのだそうです。
生活空間にスッキリと溶け込んだ、ナオロンを素材にした様々な製品を見て
「こんな素敵なものが作られるのなら、是非やりたい!」と思い、
SIWAの製品化が進められました。

一瀬さんに、素材に使われている
「ソフトナオロン」「RPFナオロン」について
教えていただきました。

siwa03.jpg

こちらが、「ソフトナオロン」の原料となる
木材パルプとポリオレフィン。
木材パルプは板状になっていますが、水に付けると繊維に戻ります。

siwa04.jpg

こちらが「RPFナオロン」の原料であるポリエステル。
使用済みのペットボトルや繊維製品をリサイクルしたものです。

ナオロンはこれらの素材を水で溶かし、和紙漉きの製法で作られます。

siwa05.jpg

実際に完成したナオロンがこちら。(※ 写真はいずれもソフトナオロンです)
最初は真っ白な障子紙ですが、機械で色を吹き付けることで
様々な色のナオロンが完成します。

十分な強度があり、刻まれるシワが味わい深いナオロン。
しかし、ちょっとした苦労もあるのだそうです。


一瀬さん:
「ナオロンは、素材を水で溶かして、和紙漉きの製法で作られています。
 万が一、この素材の混ざり具合が甘かったりするだけで、
 吹き付けで色をつけたときにムラが生じてしまいます。
 色付けの前は、真っ白な障子紙なので、
 色がついて初めて混ざり具合の甘さなどがわかるので、
 まれにナオロンが完成しても製品に使えないものも出てきてしまうんです。
 
 皆さんにムラのないものをお使いいただくため、
 チェックは入念に行っています。」



siwa06.jpg

障子紙という古来から伝わる素材を、
幅広い年齢層で使えて、生活がちょっと豊かになるものにする。
そんな思いから、2008年に誕生した「SIWA」。
今では国内に留まらず、国外にも輸出され高く評価されています。

そんなSIWAの今後の展望をお話いただきました。

一瀬さん:
「SIWAがスタートして、6年が経ちました。
 当初は深澤さんからアイテムの提案をいただいていましたが、
 最近では、お客様からのご意見なども参考にさせていただきながら、
 社内でもアイテムの提案をしています。
 

 3年目くらいから、"障子紙の可能性"を広げることと、
 自分たちの技術でどんなものが作れるのかを探求しています。
 そこで得たものが他の企業とのマッチングだったんです。

 例えば、SIWAで帽子を作ったときは、
 専門的な技術と知識のある帽子屋さんの協力があって実現しました。

 これからもSIWA本来の魅力を生かしつつ、
 色々な人や技術が組み合わさって、
 今の時代に合った新しい何かを提案できればと考えています。」



最後に笑顔で
「色々新しいことをやるのは怖いことですが、自分がいいと思ったことはやっていきたいです。」
と話してくれたのが印象的でした。
これからのSIWAの展開がますます楽しみです。


次回は、縫製工場を見学させていただいた時の様子をご紹介します。


■バックナンバー
VOL.1 山梨県市川大門に行ってきました。


siwa_brand.jpg
>> SIWAのアイテムについてはこちら


2014年9月6日土曜日

SIWA | 紙和 特集 Vol.1 山梨県市川大門に行ってきました。

siwa
こんにちは、副店長のミヤハラです。
猛暑が続く8月、山梨県にある市川大門という所まで足を運んできました。

siwa2
この地域は、今から千年以上も昔の平安時代から、和紙作りが盛んに行われてきました。
江戸時代には、徳川家の御用紙として幕府に献上されていたそうです。
現在も、障子紙の分野で全国シェア40%を誇ります。

siwa3
そんな土地で、古くから紙の製造を行っている株式会社大直。
「現代の生活に合った和紙製品を作りたい」という想いから「 SIWA | 紙和 」というブランドを始めました。

siwa4
このシリーズには、大直が開発した耐久性に優れ、水にも強い『ナオロン』という特殊な和紙が使われています。
ナオロンには、シワが付くと取れないという特性がありますが、
それを逆に利用し、くしゃくしゃとした風合いが特徴のアイテムたちが生み出されました。
デザインは、山梨県出身の工業デザイナー深澤直人氏が監修しています。

siwa5
今回、SIWAのプロデューサーである一瀬さんに、ブランドの誕生秘話や
今後の展望など色々とお話を伺い、実際の製造過程を見学させてもらいました。

どんな工程を経て、どのような人たちの手で作られているかを、
隔週で2回に分けてご紹介いたしますのでご覧いただけると幸いです。

SIWAのアイテムはこちらからご覧いただけます。